島本町の蛍

水無瀬川のゲンジボタル


写真:Luciola cruciata(Wikimedia Commons)
作者:記載されている著作者名(ファイルページを参照)
ライセンス:CC BY-SA 4.0

水無瀬川には昔から自然にゲンジボタルが生息している川であったが、1988年に大阪府の下水道部により、実験的に能勢町のホタルが放流された。その後も町で飼育されたゲンジボタルを町行政は毎年放流し続けていたが、2014年にやっと放流が生態系に問題が生じることが町行政にも理解され、中止された。当会は発足当時から放流に反対していたので、水無瀬川のホタルに関しては調査の対象外としていたが、放流後、自然の力でホタルがかなり増えてきたことから、2020年から水無瀬川でのゲンジボタルの調査を行っている。現在問題となっているのは、名神付近から下流域の街灯がLED化されたことで川の中まで明るくなったことである。この件に関して、現在行政側と対策を講じている。
発生時期:5月下旬から6月下旬。ピークは6月上旬~中旬。

島本町・住宅街のヘイケボタル


写真:Σ64(Wikimedia Commons より)
ライセンス:CC BY-SA 3.0

ゲンジボタルより一回り小さいヘイケボタルは、主に田んぼやその周辺の用水路に生息するが、近年、田んぼが減ったことや、用水路の周辺の環境が、開発により変わってしまったことにより、町では見かけなくなっていたが、2019年に住宅地に囲まれた用水路に5月下旬~6月にかけて成虫が出ていることを知り、2020年から調査を行なっていた。しかし、2023年の春頃に、用水路が長い間水がなかった時期があり、その影響かその年の数は昨年の631匹に対して、37匹しか確認することが出来なかった。そして2024年の調査では0匹となってしまった。そのため2025年は調査ではなく、時々見に行くという形になったが、なんと当会員によって6月に数匹のヘイケボタルを確認出来た。今後は行政にも協力をお願いし、ヘイケボタルが町で生息出来る環境を、維持して行きたい。

島本町のヒメボタル


動画:Luciola-parvula.webm(Wikimedia Commons)
作者(著作権者):プブリリウス(ファイルページ参照)
ライセンス:CC BY-SA 4.0

ゲンジ、ヘイケの幼虫が水中に生活するのに対して、ヒメボタルの幼虫は陸に生息する。大きさはヘイケよりも一回り小さく、ゲンジ、ヘイケはオスよりもメスの方が大きいのに対し、オスの方が大きく又、メスは後翅が退化して飛べない。幼虫の餌も陸生の貝であるオカチョウジガイやキセルガイを食するが、土壌の虫の死骸なども食していることもわかってきている。
1998年から当会ではヒメボタル調査を行っているが、当初は、広瀬、東大寺、山崎でもピーク時には一晩で200匹以上見られる生息地がいくつかあった。しかし、開発のため、現在ではJR西側の桜井地域でしか、たくさんのヒメボタルを見ることができなくなってしまった。
島本町では5月~6月上旬に町の方に出る平地型(オス:9mm メス:7mm)と、6月下旬~7月下旬に尺代、大沢に出る山地型(オス:7mm メス:5mm)が生息する。
同じ地域に2種類のヒメボタルが生息する地域は珍しく、又、2種類の生息場所が2kmしか離れていないことから、島本町はヒメボタルの観察場所として、大変貴重な場所となっている。
2020年10月~11月、桜井地域でマンション建設に携わっている株式会社フジタとJR島本駅西土地区画整理組合の方達との協力の元、桜井3丁目と4丁目の町有緑地で幼虫調査を行い、幼虫を採取出来たことと、カヤネズミの巣も発見されたため、島本ヒメボタル・カヤネズミ保全地として認定された。又、2025年9月16日には30by30(2030年迄に国土の30%以上を自然共生サイトとして保全する取組)にも認定された。

大沢のゲンジ・ヘイケ・ヒメボタル

標高340mの島本町山間部の集落である大沢では、狭い地域で3種類のホタルが生息し、観察することが出来る。
ゲンジ:6月中旬~7月上旬  
ヘイケ:6月下旬~8月
ヒメ:7月上旬~7月下旬(最近は中旬でいなくなる)
当会では毎年6月下旬から調査を行っている。

(相田)